市の成立とお金のはじまり
私たちが日頃使用しているお金ですが、そもそもただの紙切れである紙幣をどのようにしてお金として意識し、使用するようになったのでしょうか?
現代においては、お金があればほとんど何でも好きなものを買うことができますよね。
お金がない時代はどのようにしていたのでしょうか?
その起源を遡ってみると、はるか昔の私たちの祖先は、必要な物を物々交換して手に入れていました。
獣を狩ってお肉を持っている人と、お魚を獲って持っている人、田畑を育てて稲など作物を持っている人が、各々必要なものを交換していたのです。
ただこの物々交換というのが難儀なもので、自分が欲しい物を持っている人が、自分の持っている物を欲しい人がバッタリ会う状況でないと成立が出来ず、交換してくれる人を自分で見つけないといけません。。。
そこで、交換したい人たちが、広場に集まるようになり、大人数で集まれば、物々交換をする相手を見つけやすくなるためです。
このようにして、市(市場)が成立しました。
四日市、五日市、八日市、廿(にじゅう)日市など、現在も全国の地名として残っている街がありますが、これらは、毎月4の付く日に毎月開いていた場所が四日市という地名になったという由来です。
お肉や、お魚は、持ち歩くと腐ってしまいます。ひとまず交換するために便利でみんなが欲しがるもので代替しようという事になり、日本では、誰もが欲しがる稲や布地、貝や塩などを仲立ちし取り替えられていきました。
中国では、子安貝、
古代ローマでは、兵士への給料は当時貴重な塩が使われました。
この塩をラテン語でサラリウムと言い、給料を表すサラリーの語源となりました。
これら一連の流れがお金の始まりです💡
金属貨幣の誕生
ここまでのように、稲や布、貝や塩などがお金の代わりとして物々交換の仲立ちに使用されていたのですが、これらもあまり長持ちしないという問題が残っていました。
貝の場合は、大量に獲れた場合、お金が溢れてしまう状況になってしまいます、
そんなこんなで長く保管できて、あまり沢山取れる物でないものに取って換えるべきとなり、
やがて、稀少性の価値が高く、腐ったり壊れにくさと便利さを兼ね備えた、
金、銀、銅が、お金として流通するようになりました。
日本で金貨といえば、小判が有名ですよね💡
紙幣の『幣』の字は、布を意味します。
貝の貝の付く漢字は、貯、財、買う、などお金に関している字が多く、貝がお金であった証拠ですね。
『両替商』銀行のはじまり
ただ、そこからもやがて経済が発展して商売が広範囲に行われる党になると、金属硬貨でも不便なことが起きることとなりました。
大量に物を売買する場合に、貨幣で支払いをする場合には、金貨を大量に持ちあるかなければいけないし、盗まれる危険という問題です。
そこで、『両替商』という人たちが登場しました。
小判などの金貨を預けると、両替商は『預り証』を発行してくれ、『預かり賃である、手数料』を頂くという商売です。そうすると、金貨を蔵で安全に保管してくれるのです。
そして、その預かり証を持っていけば、いつでも両替商で金貨(小判)と交換してもらえるので、売買をするときに売主は大量の金貨を受け取る代わりに預かり証を受け取れば済むということです。
心配しながら大量の金貨を持ち歩く必要もなくなり、次に自分が誰かにお金を払う事になれば、その預かり証をそのまま支払いに使えば良いこととなり、さらにその預かり証をまた別の売買における支払いに使うという形で、次第に人々は預かり証で支払いをするようになり、預かり証が次々に世に出回っていくようになり、お金として運用するようになったというわけです。
つまり、
『預かり証』が『紙幣』の始まりで、
『両替商』が、『銀行』の始まりとなります。
最初の紙幣(お札)は、必ず金と交換できるということが条件になっていました。
必ず金と交換ができるからこそ、お金としての意味があったのです。
両替商から銀行への変遷
明治に入ると、江戸時代にあったあちらこちらの両替商がやがて、いくつか集まって『銀行』になって
日本全国に様々な銀行ができていきました。
それぞれの銀行が持っている金の量に応じて『預かり証、つまり紙幣』を発行しました。
そのお札を持っていけばいつでも金と替えることができる制度のことを、『金本位制度』と言います。
またこういったお金のことを『兌換券(だかんけん)』と言い、お札にも兌換券と書いてあります。
兌換券は、1885年(明治18年)に初めて発行され、これを銀行へ持っていけば、いつでも金に替えることができました。
ところが、やがて、悪質な銀行も出てきました。これはダメだ、やはり国全体での信用が必要なので、お札を発行できる銀行は、一つだけにしようとなり、出来たのが『中央銀行』でした。
お札を発行することができる一番大事な銀行を中央銀行と言い、日本では『日本銀行』、アメリカは『』FRB(=連邦準備銀行)、中国は『中国人民銀行』があり、世界各国、それぞれの中央銀行がお札を発行しています。
※なお、日本銀行は1882年(明治15年)に、ヨーロッパの中央銀行をモデルに開業されました。
日本銀行法によって設立された認可法人であり、国有銀行ではありません。実は、偶然にも本店建物を上空から見ると、『円』の字に見えます。
両替商の発足から銀行への変遷を経る中での紙幣の誕生においても、またさらに問題が残りました。
必ず金と交換できるという制度では、銀行が管理している保有している金以上のお札を発行が出来ずに、経済が発展していかないのです。
経済がさらに発展していく上で、もう金の量に関係なくお札を発行できるようにしようとなり、
お札の発行は金から切り離されたのです。
日本は、1932年(昭和7年)に金本位制度いわゆる兌換制度ではなくなりました。
その結果、日本銀行券を持って行っても、金とは変えてもらえなくなります、それが今のお金です。
※また銀行には、『銀』と言う字が使われています。
昔は銀が非常に重要なお金として使用されており、銀本位制があったと言うことも言葉として残っています。
【お金とは共同幻想?!】金融とはお金を融通すること
現在は、紙幣を金に替えられないということは、実はお金自体には価値がないという事になります、
国や地域が保証して皆んなが価値がある物だと思っているから通用するのですね。
例えば、ソマリアなどの紛争地域では、内戦が長く続き、政情が不安なので信用されておらずただの紙切れとなっております。自国民ですら通貨を信用していないのです。
つまりお金というものは、共同幻想だという事です。
日本では、政府に信用があるため紙幣がお金として通用しているのです。
信用の無い国であれば、何の価値も無くなってしまいうるという事ですね。
さて、そんな信用ある国家における銀行の役割について、掘り下げていきたいと思います。
主だった役割に、
・企業への融資
・給与の振込
・お金を預かる
・お金を作り出す
といった事がありますね。
銀行の仕事は色々ありますが、大きな仕事の一つに、
私たちから預かった余っているお金を足りないところへ融通する事があり、これを『金融』と言います。
足りないところとは、新規事業をやりたいけどお金が無い企業などです。
余っているお金を貸して利息で増やしたい人と、借りたい人の間に入り、代わりに行ってくれるのが銀行です。
企業からお金を借りたいという申し込みがあれば、銀行はその企業がお金を借りて何をするのか審査をします。
事業として、ビジネスとして成立するかを審査し、お金を貸してもこの計画であればうまくいき、利子をつけてちゃんと返してくれるという見通しがつけばお金を貸すと言う流れです。
その時に、私たちが預けているお金も含めて貸し付けるわけですね。
例えば、預けている私たちに0.1%の金利を銀行が払い、企業から3%の金利を取れば、
その差額分の2.9%が銀行の利益となるのです。
お金を借りた人が、きちんと返してくれるかどうかを見極めるプロの眼力があるからこそ銀行としての仕事ができているのですね。
中央銀行は『最後の貸し手』
こうやって、世の中にお金が流れ、動いていく。銀行、金融機関の仕事は、そう言う意味で極めて大事だと言う事がわかります。
また銀行のお金を作り出す役割を利用した、信用創造機能により、お金が増えていく流れは、私たちがお金を預けている限り機能します。
これは、まずある資本家が100億円銀行へ預けたとします。
→このうち10億円だけ銀行の金庫へ残しておきます。
次に銀行は、100億円のうちの90億円をA社へ貸します。
A社は、90億円を銀行へ預金します。
→銀行は、90億円のうち9億円を銀行の金庫へ残しておきます。
銀行はさらにその90億円のうちの81億円をB社へ貸します。
B社は81億円を銀行へ預金します。
➡️そうすると、銀行の帳簿には、
100億円+90億円+81億円=271億円の預金が集まった事になります。
この仕組みを、信用創造機能と言います。
お金というものは、何とも不思議ですね、
お金を貸すと、お金が増えるという事です。
つまり、銀行があまりお金を貸さないと世の中のお金があまり増え無いという事となり、
先ほどの例で言うと、A社にしか銀行が貸さなかった場合、預金額は190億円にしかならないと言う事です。
では、お金を預けているA社やB社が一斉に引き出そうとしたらどうなるのか?
通常は、銀行にはお金があると思って信用している場合、引き出すことはないのですが、
「あの銀行は危ない!」と噂が立つと一斉に預金を引き出そうとする「取り付け騒ぎ」が起き、取り付け騒ぎが起きている銀行には、他の銀行も怖くて貸せないとなると銀行は潰れてしまいます。
そうなると、最後に頼られるのが中央銀行であり、日本では日本銀行が『最後の貸し手』として融資してそのバランスを保っていると言うことです。
そのため、日本の民間銀行は必ず、日本銀行の中に当座預金口座を持っていて、そこに決まった額を預け入れることを義務付ける『準備預金制度』と言うものがあります。
※準備預金制度は、民間銀行に対して中央銀行に一定金額を預けさせる制度であり、
預金者保護のために導入されたが、現在は市中に出回る資金量の調節に使われます。
幾ら預けるのかは、その時々によって変動しますが、ある一定額を必ず預けておき、もしも取り付け騒ぎがあった時には、直ちにそのお金を使って対応でき、そうして銀行に全くお金が無いと言う事が起きないようにしているのです。
おまけ:消費者金融の高金利
銀行は、お金を貸すとき、借りる側に対してもし返してくれなければ代わりにコレをもらいますね、といったものを必ず設定します。
これを『担保』と言います。
住宅ローンを銀行で組む時には、土地と建物を担保にする契約を同時にするのが通常です。
ここで消費者金融は、というと、いきなり飛び込みであっても自身の身分を示せば、わずかな金額とはいえ、すぐに借りられるのです。
担保なしで、すぐにお金を借りられるので非常に便利なのですが、お金を返さないで逃げられてしまった場合に担保が無いため、金利が非常に高くなります。
逃げられたら貸したお金が返ってこない、消費者金融はそう言うリスクを抱えており、少しでもリスクを低くするために、大勢の人から高い金利を取って、お金を貸すと言う事です。
ごく一部の人が返さずに逃げてしまったとしても、残りの人の金利分でその穴埋めができるといった考え方をするわけですね。
消費者金融からお金を借りると言うことは、お金を返さないで逃げてしまう不心得者の分までお金を支払っていると言うことです。
何ともなかなか割の合わない話では無いと言うことがわかりますよね。
まとめ(ふぅ〜、書きすぎたよね)
こういった銀行や金貸の仕組みは、各個人個人でも同じと言える部分もあるかと思います。
まずは資金を蓄え、それを信用の足る人や機関に預け、利息を含んで返してもらう。
お金は天下の回りもの、たる所以そのものといえますね!
もちろん、返してもらう割が悪くなりそうであれば早々に引き上げることも気をつけていきたいですね。
そうやって、僕も僕の手の届く範囲の大切な人や自分自身が、お金(幸せ)の好循環を回していけるように頑張っていこうと思います。
一緒に頑張りましょう٩( ‘ω’ )و