『リーマン・ショック』とは何だったのか?

日常

世界経済に影響を与えた、リーマン・ショック

アメリカの、リーマン3兄弟によって、1850年に創業された『リーマン・ブラザーズ』という150年以上の歴史を持つ、アメリカ第4位の名門投資銀行がありました。

2008年9月、このリーマン・ブラザーズという会社が経営破綻したことが引き金となり、世界中に金融不安が広がり起きた金融危機である『リーマン・ショック』により、日本経済も再び、どん底に突き落とされたのでした。

当時日本は、景気が上向きになりバブル期や、長い間続いたデフレから脱却しようとしてうまく行きかけていたところであったので、このリーマンショックさえなければ、日本はデフレから脱却できていたかもしれなかったのです。

ではそんなリーマン・ショックとは何だったのか?
そもそもリーマン・ブラザーズとはどんな会社なのか?
扱っていた最先端の金融商品とは、どんなものなのか?

その仕組みについて見ていこうと思います。

『リーマン・ブラザーズ』は、株式や債券の引き受け業務、企業の合併・買収(M&A)の仲介、財務戦略の助言などを行う『投資銀行』という日本には無い、アメリカ発祥の金融機関です。

アメリカの金融機関は、商業銀行と、投資銀行と、証券会社の3つに区分されます。
日本の場合は、投資銀行業務は、証券会社が行なっていますね。

リーマン・ブラザーズが経営破綻した時のニュースで、「投資銀行」と表現した新聞・テレビがある一方で、「大手証券会社リーマン・ブラザーズ」と、したところもあったのでした。
日本には、投資銀行という区分がないので、日本向けにわかりやすく言い換えたのです。

リーマン・ショックの数年前、投資銀行は、大変大きな利益を上げていました。
ですので、社員の給料も非常に高額となり、全米トップの投資銀行であったゴールドマン・サックスでは、世界中にいる社員のボーナスの平均が約7300万円だったほどだそうです。

年収ではなく、ボーナスで、です。

大きな仕事をして、莫大な利益を上げれば、年収が何億円、何十億円にもなる人もザラに居たほどだったそうです。
ところが、仕事がうまく行かなくなると、ある日突然呼び出されて、自分の机に戻れないままに段ボールの箱を抱えて出ていく、
これが、アメリカの投資銀行というものなのでした。

『サブプライムローン問題』リーマン破綻のきっかけ

そんな大きな利益を上げていたリーマン・ブラザーズが破綻するきっかけは何であったのか?

それは、『サブプライムローン』を巡る問題であったのでした。

「サブ」とは、2番手、という意味で、
「プライム」とは、優良な、または、重要な、という意味で、
「ローン」とは、借金、という意味ですね。


「プライムローン」とは、優遇ローン、ということなのです。
お金を貸したら、ちゃんと返してくれる優良なお客さんに貸すのがプライムローンであり、
信用があるために、低い金利で貸し出すものなのです。


一方で、お金を返してくれるかどうかわからない、リスクのある人には、高い金利で貸すのが金融機関の大原則ですね。
つまり、優良なお客さんではないけれど、リスクを見込んで、高い金利でお金を貸しましょう、というのがサブプライムローンなのです。

お金に困っている人には、なるべく返しやすいように低い金利で貸してあげたいと思いますよね。
でも銀行にしてみれば、本当に返してもらえなければ、回収できなかった部分を何とか穴埋めをしなければいけなくなるわけです。

そして、そのためには、高い金利を取ることになるということなのです。

『サブプライムローンとは、信用力の低い人を対象とした高金利の住宅ローン』です。

マイホームを買うときに、毎年安定した収入があって、きちんと返済ができる人は、プライムローンで融資を受けることができ、一方で、定収入が無い人や、クレジットカードの支払いを延滞したことがある人を対象に融資するのが、このサブプライムローンとなります。

サブプライムローン貸付のからくり

では、返済能力の低い人に、どうしてお金を貸すことができるのでしょうか?

これには、仕組みがあります。
10人や、20人にお金を貸した場合、その中で返せない人が何人か居ると、金融機関は大きな損害を受けます。
でも、何千、何万人という人に貸せば、何%の人がお金を返さずに夜逃げしてしまうか、何%の人がお金をちゃんと返すかというデータを取ることができるのです。

そして、そのデータに基づいて、最初から何%の人がお金を返さないという前提に、残りの人から回収すれば、利益が上がるように高い金利を付けているわけなのです。

つまり、サブプライムローンで高い金利を払っている人は、払えずに踏み倒した人たちの分まで払っているということになります。
サブプライムローンでも、全体としては利益が上がる仕組みができたということなのです。

そして、お金を貸した住宅専門の金融機関は、リスクをできる限り回避したいため、
そこで、その債権を投資銀行に売ったのでした。

例えば、住宅ローンの会社が5000万円貸して、利子を付けて最終的に6000万円返してもらう契約にします。
もちろん、その家を購入する人が、土地と家を担保にします。

でも、住宅ローン会社は、返してくれなくなるというリスクを回避するために、この権利を投資銀行に5000万円で売るのです。

そうすると、利益は、500万円に減るのですが、安全に回収できるのです。
ただし、投資銀行は、リスクを背負ったままですよね。

ですので、投資銀行は、比較的安全な住宅ローンや、社債、株なんかをセットにして今度はそれを銀行に売ったのでした。

様々なものを組み合わせると、全体としてリスクが低くなる、これは金融経済の基本となります。

でも、銀行の担当者も安全だというお墨付きがないと買いませんよね。
では、このリスクを人に押し付ける方式が、なぜここまで順当に進み銀行も買うようになったかというと、『格付け会社』が、この商品を「絶対安全」と評価したのが大きかったのです。

格付け会社は、ごく普通の民間企業で営業許可も不要なのですが、AAA(スリーエー)や、A+(シングルエープラス)などの評価づけをする役目を持った機関であり、西部開拓時代、鉄道会社の社債の安全性を評価する専門家が現れたのが始まりとされています。

アメリカの格付け会社が権威を持っており、その格付け会社がサブプライムローンを組み込んだ金融商品にAAAなどの高い評価を与えたのでした。
なので、銀行も安心して買うことができ、こうしてサブプライムローンは広まっていったのでした。

そして、そんな中でアメリカの住宅バブルは弾けてしまうのでした。

アメリカの住宅ブームとバブル

アメリカでは、2002年ほどから、このサブプライムローンを借りる人が増えていったのでした。
その背景には、アメリカの『住宅ブーム』がありました。

その好景気の一方で、バブルではないかと指摘する声も一部にあったのですが、元FRB副議長の『アラン・ブラインダー』などは、当時これを強く否定したのでした。

そして、そこから住宅の値段がどんどん上がっていったのですが、
しかし、2006年、2007年にかけて、このブームは、突然終わってしまったのでした。
つまり、『住宅バブル』であったということなのです。


ご存知の通り、バブルの真っ最中にある人間は、みんな気づかないもので、空前の好景気だと思っているものなのです。
アメリカでも、住宅ブームなどという言い方をしていたのですが、住宅が飛ぶように売れ、土地の値段が上がっていったのでした。

サブプライムローンで、高い金利を払ってでも住宅を買えば、しばらくすると、買った時よりも高い値段で売れるのです。お金を貸す側にしても、返してもらえなくなれば、担保になっている土地や建物を売れば、むしろ土地の値段が上がっているので利益が得られるのです。

こうして、サブプライムローンの貸し出しが、一気に広がっていき、アメリカ経済でもこの時、バブルが起きていたいうことなのです。

しかし、バブルというのは、やがて弾けます。
アメリカの住宅ブームは終わり、サブプライムローンの返済に行き詰まる人が続出し、担保である土地や建物の値段は暴落してしまったのでした。

サブプライムローンの『債権』の価値が暴落したのです。

サブプライムローン以外は、不良債権ではなかったはずなのに、なぜ一気に急落したのかというと、
サブプライムローンを含んだ金融商品は、福袋みたいなもので、あまりにさまざまな債権が組み合わさっていたためにサブプライムローンの損失がどのくらい影響があるのかわからなくなっていたのです。

具体的な損失がわからなければ、対処のしようがなく不安は増える一方となり、
銀行同士が、「あの銀行は、サブプライムローン証券をたくさん買って危ないらしい」などと噂しあった。
そして皆が疑心暗鬼となりパニックが広がり、金融不安がこうして広まったのです。

さて、その後の世界経済は、今後どうなっていくのでしょうか。

リーマン・ブラザーズが経営破綻に追い込まれる

リーマン・ブラザーズは、もともと債権ビジネスに強みを持ち、住宅ローンなどの証券化業務に傾斜していたため打撃を受け、巨額の損失を抱え込んでいるらしいという認識が投資家たちの間に広まりました。そのため、同社に対する信用は落ち込み、社債も急落してしまったのでした。

こうして、資金繰りに行き詰まり、経営破綻してしまったリーマン・ブラザーズは、
2008年9月15日、連邦破産法第11条の適用を連邦裁判所に申請して倒産してしまったのです。

負債総額は、6130億ドルとなり、アメリカ史上最大規模となりました。

大手の金融機関が潰れてしまうと、大変な金融危機が起きるというのは、世界の常識です。

リーマン・ブラザーズほどの大手の投資銀行が経営危機に陥ったならば、政府が救済するはずだという考えもありました。
ですが、当時のアメリカ政府は、「民間企業の経営に口を出すべきではなく、それぞれの会社が自己責任において行動するべき」というフリードマン的考え方の『小さな政府』を提唱する、共和党のブッシュ政権でした。

なので、リーマン・ブラザーズに公的資金を投入せず、破綻させたのでした。


リーマン・ブラザーズが破綻したことによって、ますます金融不安が広がったのでした。

金融機関は、一転して慎重になりお金を貸さなくなり自動車ローンも組めなくなったのでした。
そうしたことで、自動車産業も大打撃を受け、
2009年6月には、全米1位のゼネラル・モーターズが倒産し、トヨタ、ホンダなどの日本車もアメリカで売れなくなり、輸出産業は大打撃を受け、日本経済も落ち込んでいき、派遣切りなどいろいろな問題が起こったのでした。


連鎖的に世界中のお金の流れが止まり、バタバタと金融機関が潰れ深刻な不況へと陥っていくことになりました。

コレが、『リーマン・ショック』と呼ばれる一連の出来事でした。

日米の住宅ローンの違い

日本とアメリカでは、住宅ローンの借り方に大きなちがいがあります。

日本の場合、住宅ローンの返済ができなくなった場合、担保として土地や建物を銀行に取り上げられますが、その土地や建物の値段が借りた金額より下がっていると、その差額は、お金を借りた人が返し続けなければいけないのです。

担保を取り上げられても、借金が残ってしまうということなのです。

一方で、アメリカはというと、そもそも住宅ローンを借りるときに、その土地や建物そのものおを担保にしているわけなので、返済ができなくなった場合、担保を渡してそれでおしまいになります。

本当は、こっちの方が本来のやり方ですね。
ですので住宅ローンを借りる人も、ある意味、気が楽なのがアメリカ流と言えます。

ローンが返済できなくなれば、その家の鍵をローン会社に送り、本人が出ていけば、それでおしまいになります。

その後にローンの残金という負債が残ることはありませんので、高い金利でもサブプライムローンを気軽に借りる人が大勢居たというわけなのでした。

アメリカの住宅ローンの仕組みが影響をより強く及ぼしていたのですね。

現在、日本では、少子高齢化に次ぐ、空き家問題も課題となってきておりますね。

次世代に引き継ぐ、社会やそのインフラの理想的な形態は如何にすべきか、、
私たち世代の課題となります。

ですが、そこも私たちの腕の見せ所と言えるところなので、コツコツこれから有識を身につけて行き、正しい判断と、前向きな決断力を持ち、次世代にバトンを渡せるように明るい未来に貢献して行きたいですね。

僕も頑張ります。

一緒に頑張りましょう٩( ‘ω’ )و

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