モーニングコーヒーを嗜んでいた傍ら、大型トラックであろう大クラクションが表の交差点に鳴り響いていた。
トラックの行きたい先の左折したすぐ角に高級セダンが路駐をしていたのだ。
幾度となく鳴らされるクラクションも虚しく、セダンの持ち主は一向に現れない。
ほんの数十秒で朝のモーニングラッシュの交差点は渋滞が発生していた。
そんな様子を隣の席で見ていた御母様が、”迷惑極まりないね〜”と呟いた。
「ほんとですね〜」なんて、リアクションを取ると、続けて話をし始められた。
“ここの交差点は、ほんと問題が沢山起きるんだよ〜、私はすぐそこの交差点脇に住んでるから、いろいろ見てきたよ”
と、おっしゃられた。
つい先日は、大型バスに撥ねられたLuup(電動キックボード)に乗った少年が2階ほどの高さまで吹っ飛んだという話もあるとのことだった。
迷惑駐車の車に話を戻すと、
クラクションと渋滞に気づいた男性が、隣の牛丼屋から、慌てふためき小走りに戻ってきた。
通報を受けた警察がちょうど対象のセダンを確認しているところだったが、
ペコペコとお辞儀をしながら、運転席へ入り込みそそくさと退散していった。
これだけ迷惑掛けたにも関わらず、切符も切られずにラッキーなおじさんだな〜なんて、呟くと御母様がこう言った。
“このくらいで済んでるなら、まぁまだマシだね〜。”と、
「ほんとですか〜」なんて相槌をついていると、
“ぁあ、そうだね、
もっとタチの悪いのはベンツの女だね〜。
『ベンツの女には気をつけな!』”
とのことであった。
「ベンツの女ですか〜」なんて相槌をつくと、
“あぁ、気は強いし、人を見下してやがる。
まぁ、私も江戸っ子だから、負けゃしてないんだけどね!”と語気を強めながら話す。
“ただ、私の車は高くないから、
距離感に気をつけないといけないんだけどね。クカカカカ。
無駄に高い車乗ってやがるもんだから、
当てたらコッチの罰が悪い。”とのことだった。
なんて幾らかの小噺が続き、
“それじゃ、お先に, “と颯爽と帰っていかれ、
僕はその余韻に浸りながら学んだのだ。
「ベンツの女には気をつけよう」
そして、
ベンツの女にも屈せず牙を剥く、
『江戸っ子の女はさらにたちが悪い。』
「江戸っ子の女にも気をつけよう。」
と、いう事を。
ひとまず、またこれから精進をし、いつしか来るであろう江戸っ子の女との遭遇に備え、
ベンツに乗り込めるように励んでいこうと思う。
僕も頑張ります!頑張りましょうΣ( ̄。 ̄ノ)ノ